カウンセラーコラム

2017-03-03【家族】

【おなじみの不快な感情”きしょくわるい”】
 いつの頃からか他人や自分に対してことあるごとにある思いを抱くことがありました。それは『きしょくわるい』という思いです。
 なんとなくきしょくわるくて後味が悪い、けれども困るほどでもないからほったらかし。そんな位置づけであったこの感情。この正体がわかった時「人の心って面白い~!!」とますます心理学を学ぶモチベーションが高まったことがありました。

 ちなみに『きしょくわるい』と思っていた場面の例えは、
友達と話していて共通点を発見して嬉しくなったとき、「私たち一緒だね」とうれしい気持ちを伝えようとすると『こんな偶然誰にでもあるんだから、こんなことで喜ぶ自分は子供っぽくてなんかきしょくわるいな、、、』と思ってその言葉を飲み込んでしまったり、、、
 また、別の場面では話をしている相手が「こんなに親身になって話をしてくれてすごく親しみをもてました」と言われたときに『こっちは当たり前のことをしただけなのにそこまで喜ぶとはなにか下心でもあるのか?』(※今では思わないので安心してください笑)と疑ってしまったり、、、

 沸点が低く、割と頻繁に味わうこの謎の感情。でも実際に困ることもなければ誰かが損をすることもない。

 これは、指摘を受けなければ一生この感情をほったらかしにしていたと思います。

 しかし、それは意外な場面でその成り立ちが判明するのです。

 私たちカウンセラーは日々、勉強会を開いて研鑽をしています。その中で、〈交流分析〉という授業があります。その日は私の思考や行動、感情のパターンがどのように形成されたのかをインタビュー形式で聞かれ、それを分析するという授業。
 お相手のカウンセラーは山口季子カウンセラー、私のこの『きしょくわるい』という謎の感情の第一発見者です。

 「相葉さんこの不自然なきしょくわるい感情、なにが起きているか知りたくないですか?」
 「え?この感情ってみんなもってるものじゃないんですか?」

という流れからこの感情の掘り下げが始まりました。
色々と話しているうちに、ある場面が自分の頭の中に浮かんで離れなくなりました。
それは、中学生~つい最近にいたるまであった、母親のある口癖が原因だったのです。
それは
母「あなたはお母さんに似ているから、食べ物の好みも服のセンスも全部一緒だね♪」
 あらゆる場面で出てくる、この「全部一緒だね♪」このフレーズを思い出した時全身で感じる嫌悪感を味わったのです。

 実は私は母と一緒であることを感じることはあまりなく、どちらかと言えば好みはバラバラ、それでもどこかで『母に対して違うと言うのは母が傷つくからやめておこう』という思いがあったのです。

 母が傷つくことを恐れるあまり、自分の感情を鈍らせ自分の意見を押し殺す。
 それを知らずに母は「自分が娘と共通点が多く、自分の分身であるかのようなそんな嬉しさ」を味わっていたのでした。
 そんな母を見るたびに自分の本当の感情に目を向けるのではなく『きしょくわるっ!』と思って流す習慣を身に着けたのでした。
 
 それに気づいた私は早速母に対して、『本当は自分がなにが好きなのか』『母と同意見でないときもたくさんある』ということを直接伝えるようになったのです。
 すると最初は「なんで一緒じゃないの?どうしちゃったの?」というリアクションだった母も次第に
「あなたはそう捉えるんだね」と、私の意見や想いを尊重してくれるようになってきたのです。私が一番欲していた〈自分という独立した存在を認めてほしい〉という真の想いが満たされたことを覚えています。

 そうすると、不思議なもので日常生活で不適切に『きしょくわるい』と思うことが少なくなってきました。

 自分の心に向き合って本心に気付いて適切に行動することで、また一つ自分が自分らしくいられる。そんな貴重な経験をすることができたのでした。

メンタルヘルスマネジメント
JLC心理カウンセラー1級
ピアカウンセリング