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カウンセラーコラム
2016-09-10【家族】
私は「ラクダ」
6月の箱庭講座からふた月があっという間に過ぎてしまい、すっかり日々のスタイルに戻ってしまった。
自宅で一人パソコンに向かい、ノートを広げICレコーダーの嫌いなイアホンを耳に入れてヘッドセットを装着しペンをとる。
カウンセリングにおいての自分の課題がどんどん増えて、それなのに後退していくような不安に駆られる毎日。
気分を切り替えるためにとようやくMY箱庭も作り、数少ないミニチュアを置いてみる。
・・・大事な事を書き残す作業があった!
今回の講座の最終日に受けた「教育分析」では自分の中にある無駄なものがそぎ落とされる体験をした。
小幡講師から「何でも自由に作ってください」と言われ、私はおもむろに家族を表現していた。
講座の初日、一番に手に取った真っ白い家。
軽くて、風通しが良さそうな小さいおうちが気に入っていた。
でも、次に気に入ったヤシの木と迷ったがその家を「自分」として置いた。
次に「長女」は迷わず今にも飛び立ちそうな、大きな羽を広げている鳥。
「次女」は、、、彼女は犬が大好きだからやっぱり犬かな・・・手に取った犬はかわいい子犬。
その3つを箱庭に置いてみた。
うーーーん、、、あ、やっぱりこの犬は違う。いつまでもこんな小さなかわいい子犬じゃないわ。
やばい、やばい、まだそんな風に思ってたか・・・
「次女」への心配な気持ちと構いたい気持ちの表れか・・・
思い直して、すっくと立つ大人の犬に変えて再度置いてみると、うん、これでいい。
私がいて、両側に娘たち。
少し前を行く「長女」は、これからひとり暮らしをするという羽ばたく鳥。
まだ一緒に家にいる「次女」は、私との間にも距離を保ってそこに居る大人の犬。
それぞれに距離があり、でもみんなそれぞれの方向に向かっている姿を作った。
十数年前、ある日突然夫が死んでから怒涛のように親子3人で生きてきた。
へたくそな子育てにも気づかず自己流でやってきたおかげで、
子どもたちには謝らねばならないことだらけになっていた。
年の近い姉妹なのに仲良くないことを悩んだ日々。
長女にはしっかりしてくれ、次女にはまだまだ大人になるな、
という暗示を無意識とはいえかけていたダメ親ぶりに後悔するこの数年。
それなのに、こんなダメ親の元で道も外れずここまで育ってきてくれた娘たち。
私は心理学を学んで「後悔する暇があれば子どもたちを信頼しろ」という事がわかった時点から努力してきた(つもり)。
それでも、それぞれの気持ちが全てわかるわけでもなく、まだまだこの娘たちのことが気になるな・・・
こんなあいまいなままこの娘たちを見守っていけばいいのかな・・・
何かまだ親としてできることがあるならしたい、でもきっとそれは黙って見守るだけだとも思う。
こんな話を小幡講師は受容しながら傾聴してくれた。
でも次の瞬間、「見守る必要あるんですか?」とすかさず聞かれた。
あぁ、えーーーっと必要?・・・
「小さな子どもなら必要だけど、別に見てなくてもいいんじゃない?」
「見るから気になるよね」
愕然とする私。・・・そうだった・・・何度もそれを思い知ったはずなのに・・・
「もう家である必要もないし、長谷川さんが見守る必要もないから、これ家じゃなくて他のものがいいんじゃないの?と思う」
と小幡講師に言われた私はものすごく納得して、
「私はいつも家にいるからいつでも帰っておいでよ」という態度でいたことを改めて実感した。
本当は自分を表現したいミニチュアは「ヤシの木」だったけど、子どもにとって私は親だろうと思ってこの「家」を持ってきた。
どんな気分になるか思い切って変えてみないか、と促され迷わずヤシの木と取り換えてみたら、すっきりした気分。
やっぱりいいわ~このヤシの木、風が吹き抜けていく感じ。
それぞれが対等にもなったかな・・・
と思ったところへさらに小幡講師からのアプローチが飛んでくる。
「動くもの」にしてみないか、と。
長谷川さんもこれからやりたいことをして生きていく。自分も動くでしょ、と。
なるほど。
確かに子どもたちはそれぞれの道を行く。私もそうだ。
動くもの、動くもの・・・ミニチュア探しを始める。
毅然とした人間になることがテーマの私は、コスチュームに身をまとい武器を持ってポーズを決めるアニメの女性キャラを手に取ってみた。
かっこいい、こんな人になれたら・・・とは思ったが、あの箱庭にはそぐわない。
娘たちが動物だから、私もやっぱ動物かな・・・
探していたとき目に留まったものが「ラクダ」だった。
あー、これだ。
大好きなヤシの木の下にラクダを置いてみたら、なんだか安心。
以前、まだカウンセラーと言うにはよちよち歩きの初歩のころ、協会のカウンセラー達を動物や植物などいろんなものに例えて紹介する企画があった。
初めて私のスーパーバイザーとして関わってもらった先輩に「長谷川さんはラクダ」と言われたのだった。
一つのことをいつまでも咀嚼して、簡単には飲み込まない。
長いこと咀嚼して吟味して考えてる感じだと言ってくれたことを覚えていた。
「ラクダって微妙~~」って思いながら、でもいやではなかった。
何より信頼していたカウンセラーだったし、右も左もわからない私に対してただの優しさではなく、
頑張っていることを認めてくれて、上に引っ張ってくれた人。
褒められてうれしくて必死で勉強したな、ついていきたくて・・・
そんなことを思い出しながら話していると、小幡講師もその企画なら覚えていますよと私の言葉に耳を傾けてくれる。
なんとも優しい時間が流れている感覚に包まれる。
このラクダ、なんだか味がある奴だな。のんびりなところ、警戒心を与えなさそうなところ、
長時間でも歩けるところは自分に似てるかも・・
コブがあるけど疲れたら乗ってく?みたいな・・・
そんな風に思えるから不思議だな・・・
しかも3人が動物になってしっくりするし、ここでようやく対等になった感じ。
みんな同じ方向を向いている。行先は違うけど、未来に向かっているところがいい!
ヤシの木が後ろにあることがとても落ち着くし。
「精神的にはここがホームでどこか見守ってもいるし、でも自分の体は動く。
やりたいことをするよ、みんなそれぞれがんばろうね」
そんな感じがすると小幡講師は言葉をかけてくれた。
私はいつまでも親として娘たちに関わろうとしてしまうけど、ひとりの人間としてお互いを認め合って対等な関係であればあるほど、
みんなが成長していけるという事を改めて認識したのだ。
子どもが親を頼りにしてきたら「ヤシの木」になって聞けばいい。
罠を仕掛けて待ちかまえていたりすると警戒されて寄り付かないよ。
子どもを信じて、私がやりたいことをして動くことをモデルとして見せたらいい。
こんな言葉を与えてくれる小幡講師は、私の経験も、行動も、感情も受け取ってすべてを促してくれたのであった。
自分のスタイルをずっと探していた。
「家」ではなく「ヤシの木」であり「ラクダ」であればいいのだと、ようやくわかった。
それが目の前にある。しかも自分で作った世界。
すごいな・・箱庭って・・
こんな体験をしたのです。
そして、今これを書きながら感じたことがある。
あのヤシの木って、ひょっとしたら「ダンナ」かも。
そういえばあの日から彼は私たちをずっと見守ってくれていたんだった・・・
サンキュー、ヤシの木!
長谷川 さとみ
株式会社JPA 電話カウンセラー養成講座 修了
上級心理カウンセラー養成講座 修了
JPA公認カウンセラー
調理師免許
ホームヘルパー2級
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