カウンセラーコラム

2022-01-28【家族】

初めて知った親の愛
先日、コロナの影響で延期になっていた長女の結婚式を無事に迎えることができた。
秋晴れの気持ちよい青空が広がるその日、私は静かに、そして大きな気付きを得た。

披露宴の最後に長女が涙ながらに読み上げた両親への手紙。
両親への手紙と聞いたときにまず、ドキッとした。
なぜなら、娘たちがまだ幼かったある日、突然に父親を失ったことを不憫に思う気持ちがあったからだ。
しかし長女は、「まずお母さん、女手一つで私と妹を育ててくれてありがとう。」
と切り出した。
朝から晩まで働くことできっと私たちにはわからない辛いことや諦めたことがたくさんあったと思う。
その大変さを見せずに明るく振る舞うお母さんの強さを尊敬している。
これからは自分の好きなこと、やりたいことに全力を注げる楽しい人生を送ってほしい。
と、ありがちな手紙かもしれないが娘のストレートな気持ちが心に沁みた。
私は自分がどんなにも弱く非力で、子供たちには謝らなければならないことが山のようにあることを実感している。
父親を失ったあの日からこの娘にも辛いことや諦めたことがたくさんあったに違いない。
それでもこれまでやってこられたのは紛れもないこの子たちがいたからに他ならない。

そして娘は、「お父さん、今、天国から見守ってくれているでしょうか。」
と続けるのである。
お父さんが家族のためだけでなく従業員やお客様のために一生懸命働く姿を今でもよく覚えている。
自分が働くようになってようやくその大変さや難しさを実感した。
そんな忙しい日々の中でもいろいろな場所へ連れて行ってくれて、たくさんの思い出を作ってくれてありがとう。そんなお父さんが大好きだった。
自分よりも相手や周りを気遣えるお父さんと、優しく強いお母さんのもとに生まれてきて本当に良かった。
大切なことをたくさん教えてくれて、幸せな人生を送らせてくれてありがとう。
と語り、最後には義理の母となる人への感謝とともに夫婦で新たな人生を歩んでいきますと結んだ。

私はこの結婚式に、亡き夫を参列させてやりたいとどれほど思ったことか。
しかし娘はこのような形でまるで目の前に父親がいるかのように語って見せた。
娘よ、私にくれたその言葉そっくり返すよ。
あなたは強く優しい。母はそんなあなたを誇りに思う。
きっと空の上に用意された円卓で、夫をはじめとする夫の両親、そして私の父親も一緒に旨い酒を酌み交わしたことだろう。

そして何より、後からじわじわと感じたことが私の57年間の人生で一番大きな気づきとなったのだ。
それは、両親の愛。
娘は私が強いと表現してくれたが、それを言うなら私の母親こそ強い人だと思ったのだ。
なぜなら、私を遠く離れた見知らぬ土地に嫁がせてくれたこと、その家の人間に認められかわいがってもらえるようにとそろえた嫁入り道具の数々を持たせてくれたこと。
心配したところでちょとやそっとでは様子も見に行けないような場所で暮らす娘をどれほど気にかけ、擦り切れるような思いで見守ってくれたことだろう。
それらを時には煩わしいと感じ突っぱねてきたことばかりであった。
それでも変わらずどんな時も私の身を案じ見つめてくれた母親の存在そのものが、「愛」なのではないかと感じたのである。
いい年になって今頃気が付いたのか。と笑われるかもしれないが、「愛」とはこうして受け継がれていくものなのだと感じた。

私の中の小さな泉に、ぽとりと落とされた雫がじわじわと広がり次第に丸ごとその景色を変えてしまったかのような衝撃を覚えたのだ。
生きるものすべての血管の中を流れるあたたかな血液のように、「愛」とは脈々と受け継がれ流れを止めないものなのかもしれない。
私への感謝を語ってくれた娘から教えられたことは、私が父と母からしっかりと受け継いだものだったのだと改めて感じる。

生きていてよかった。
こんなことを生きているうちに感じ取れてよかった。
どんなに過酷な道のりがあったとしても、それでも自分の人生にイエスと言えるように生きていこう。
そして、もっともっと学びを深めて生かせるような人生を送ろう。

そしてこの思いを伝える母がまだ生きていることにも感謝しながら、
私は今日、母に手紙を書いた。
株式会社JPA 電話カウンセラー養成講座 修了
        上級心理カウンセラー養成講座 修了
JPA公認カウンセラー

調理師免許
ホームヘルパー2級